まつこごと

本好き多趣味の元教員・現保育士アラサーによる雑記ブログ

【今週の一冊】教育の「いま」を考える本/汐見稔幸著『教えから学びへ』

f:id:matsuko_childsupport:20220209202949p:plain

こんにちはまつこで最近は教育や保育に関する本を多く読んでいます。

このブログでは、私が読んだ本の中でも特に面白かった本や勉強になった本について紹介をしています。

今日は汐見稔幸さんの著書

『教えから学びへ 教育にとって一番大切なこと』

を紹介します。

(記事には一部プロモーションを含みます。)

 

 

はじめに〜著者について〜

著者の汐見稔幸さんは、教育学・保育学・育児学専門の先生で、東京大学名誉教授、白梅学園大学名誉学長です。

Eテレ「すくすく子育て」という番組にも出ておられるので、そちらの番組でご存知の方も多いかもしれません。

※前回紹介した汐見さんの著書についてはこちらをご覧ください

matsuko-childsupport.hatenablog.com

私自身は、「プランニング開」という会社が主催している「保育学セミナー」という保育の勉強会で汐見先生の講演を拝聴したことがきっかけで汐見先生の本を読むようになりました。

今回紹介する本も昨年の12月にあった保育学セミナーにて購入し、読みました。

 

本の概要

なぜ教育には「〜しなければならない」が多いのか?

どうすれば「みずから学ぶ」環境がつくれるのか?教え方ではなく、子どもの学びの深め方からいま必要な教育の本質を考える。

河出書房新社HPより)

 

感想(雑感)

この本は、学校での「教育」が「変わっていない」そして、「変わることができていない」ということを教えてくれました。

 

今までの「学校」は「新しいことを知る場所」であり、教師は「新しいことを教えてくれる師」として尊敬されていました。

学校以外の場所で新たな情報を得ることがむずかしかった当時は、その役割はとても大きかったのです。

しかし、情報技術が進歩した「今」は、大人も子どももスマホ一つで「新しいこと」を簡単に調べることができるようになりました。

昔と今とでは学校の役割が変わってきているのです。

 

だとすると、

今の学校に求められている「教育」とはなんなのでしょうか。

子どもたちは学校で何を「学ぶ」べきなのでしょうか。

そもそも「学ぶ」とはどういうことなのでしょうか。

教師と学校の役割は?

など多くの疑問が浮かんできます。

 

この本は、それらの疑問の答えを探すことを通して、教育の根本から考え直すことができる本です。

 

私は数年前まで小学校で教員として働いていました。

教員として子どもたちに教科を教えながら、「教育の意味」「学校の存在意義」を考えていたこともありました。

「なぜこの子たちは学校に通っているのだろう」

「学校の教育はこれであっているのだろうか」

「『不登校』は本当に良くないことなのかな?」

この本を読んで、あの時私が感じていた「学校への違和感」が間違っていなかったんだということがわかりました。

そして、この本ではその違和感を言語化してくれているので、読み終えた後はとてもスッキリとした気持ちになりました。

 

印象に残った「ワード」

この本の中で印象に残った「ワード」を2つ紹介します。

「信じて疑う」(P.140)

筆者は「読書をするときに大切なこと」として、「信じて疑う」ということを挙げています。

本を読むときに、はじめから反発して読んでも、逆に全てを鵜呑みにして読んでも、それは読書にならないと言います。

著者が書いたことを「一度信じてみる」、そして、「信じた上でもう一度疑ってみる」。

このような態度をもちながら、その本について自分なりに考えることで、思考のしかたが鍛えられると述べています。

 

これは大人になった今の私にも当てはめて考えることができると感じました。

私も本を読むことが大好きなのですが、今まで「本の読み方」を考える機会はありませんでした。本を読むにあたって、筆者のことを信じた上で疑ってみる自分なりに考えながら読んでみる大切さを改めて認識しました。

 

「子どもって面白いな」(P.217)

学校での教育や子どもたちの活動について具体的な事例等も含めて書かれている章から引用しました。

筆者はこの章で「子どもたちが没頭したり熱中したりする時間をつくること」が子どもたちに必要な教育であると述べています。

 

子どもたちの行動力は「私たちが思っている以上にすごい!」ということ、そしてそれを引き出すような授業(関わり方)ができていたかどうか、教員時代の自分を思い出しながら読みました。

子どもたちは、心の奥深くから感動することができれば「大人にもできないことができる」という可能性をもっています。

私自身は、「子どもたちの心が動くような授業はあまり多くできていなかったな、と反省しました。

 

学校教育だけでなく、「児童発達支援」の施設で関わる子どもたちについても同じことが言えると思うので、この考え方は今後の仕事にも生かしていきたいです。

 

この章では、子どもの可能性をリスペクトして「子どもって面白いな」と思い続けていることが、子どもの教育を支える大人の仕事であり役目だと締めくくっています。

 

終わりに

学校教育に関わっていた者としての立場で、「今までの学校教育」についてとても考えさせられました。

また、児童発達支援の施設で子どもたちと関わっている立場として、「今を生きる子どもたちに対して自分にできることはなんだろう?」とたくさん考えることができました。

 

子どもに関わるすべての人に読んでほしい、そんな本でした。

 

今回は

汐見稔幸著:「教えから学びへ 教育にとって一番大切なこと」を紹介しました。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

まつこ