「療育」とは、障害のある子どもの発達を支援する方法の一つです。
子育てをされている方々の中には、
「療育を受けさせようかどうか迷っている」
「療育ってただ遊んでいるだけに見えるけどどうなの?」
という悩みをもっている人もいらっしゃるのではないでしょうか。
そんな方へ向けてこの記事では「早期療育のメリット」についてまとめました。
結論
結論を先にいうと、その「ただ遊んでいるように見える」療育が子どもの成長にはとても大切なものです。
療育を受けることができる施設には運動系、学習系、音楽系など様々な種類がありますが、子ども達がとにかく「楽しく」過ごせていること、そして「継続できる」ことが何よりも大切です。
この記事ではそもそも「療育」とは何かということや、「早期療育」が子どもの成長に与える影響について、児童発達支援で働いている児童指導員の視点からまとめました。
最後に早期療育の場を選ぶ際の注意点についても追記しています。
児童発達支援の事業所の利用を迷っている方に参考にしていただけると幸いです。
この記事を書いた人
まつこといいます。児童指導員として児童発達支援で働いています。
児童発達支援とは、発達に支援が必要な小学生未満の子どもたちに対して療育をおこなう福祉サービスです。
私が働いている児童発達支援では、50分間のプログラムでコーチと子どもでマンツーマンまたは少人数(2、3名)の運動療育をしています。
母子分離型で、基本的には保護者の方は入室しません。
施設は駅の近くにあるので、子ども達が運動をしている間は、保護者の方は用事を済ませたりリフレッシュをしたりする時間として使うことができます。
子ども達の「運動能力を高める」というよりは、体をたくさん動かして運動する楽しさを知ったり、「できた!」という成功体験を重ねたりすることを大切にしている施設です。
見る人によっては「ただ遊んでいるだけ」に見えてしまうかもしれません。
でも、運動療育の場では子ども一人ひとりの発達の段階に合わせ、目的をもった動きを多く取り入れています。
加えて、子どももコーチ(児童指導員や保育士)も、毎回汗だくになるくらいの運動量を確保することができています。
「遊んでいるように見える」ということは、言い換えれば「子どもたちが楽しんでいる」ということですよね。楽しく「できた!」を経験できるなんて、とっても素敵ではないでしょうか。
療育とは
そもそも療育とはなんでしょうか。
言葉の意味としては「治療(医療)+教育」で「療育」となっています。
もともとは肢体不自由児の自立に向けて行う支援のことを指したそうですが、今はもう少し広い範囲で使われています。
現在は
障害をもつ児童や発達に支援が必要な児童に対して、その発達の段階に合わせた支援をしていくこと
を「療育」と呼んでいます。
「療育」の目的は日常生活に必要な力を身につけたり、社会性やコミュニケーションの力を身につけたりすることです。
また、もう一つの目的として「障害によって引き起こされる二次障害(うつ症状、登校しぶり、不安障害等)」を防ぐということも挙げられます。
早期療育のメリットとは?
一般的に「早期療育」というと、幼児期から小学校に上がるまで(2歳〜6歳)の年齢子どもに対して行われる療育のことをいいます。
この記事でも、私が働いている「児童発達支援」という施設に通うことができる子ども(〜就学前)についての療育を「早期療育」として書いています。
それでは、さっそく早期療育のメリットについて考えていきましょう。
メリット①様々な経験をすることができる
「療育」を通して子どもたちは様々な経験をすることができます。
運動療育であれば、走る、跳ぶ、蹴る、投げるなど体の様々な動きを体験します。
使う用具の色を確認したり、体操で「数」を数えたりと、体の動き以外の部分でも多くの経験をすることができます。
学習系の療育であれば、絵カードを使って物の名前を知ったり、折り紙やお箸を使って細かな指の使い方を練習したりします。事業所によっては外に出かけたり、歌を歌ったりダンスをしたりするところもあります。
子どもたちの発達の段階に合わせたプログラムを行い、楽しみながら、少しずつ生活に必要な力をつけていきます。
事業所内では一緒に活動をするスタッフや友だちとの関わりもあります。
普段から通っている保育園や幼稚園に加えて自分の居場所がもう一つ増えることになるので、子ども達にとってはとても良い経験になりますね。
メリット②子どもの自己肯定感が高まる
療育の場には「自分でやらなければいけないこと」が多くあります。
部屋の中に入ったら、靴を脱いで靴箱に入れる、服を着替える、手を洗うなどです。
もちろん、はじめはスタッフもお手伝いをしますが、自分でできることを少しずつ増やしていけるように支援をしていきます。
自分でできることが増えると自己肯定感が高まります。
運動療育では、
体操に参加することができた、大きな声で返事ができた、跳び箱からジャンプすることができた、平均台を一人で渡ることができた、など
活動の中で「できた」を実感する場面がとてもたくさんあります。
どんなに小さなことでも、何か一つでも「できた」ことがあると子ども達ってとっても良い笑顔になるんですよね。
療育の場では、「できたね、嬉しいね!」という成功体験をたくさん重ねて、子どもたちの自己肯定感を高めていきます。
自己肯定感が高まることで、うつや引きこもりなどの二次障害も起こりにくくなります。
メリット③子どもの特性についてがわかる
療育施設には作業療法士や言語聴覚士、保育士など発達の専門家が在籍しているので、活動の様子からも子どもの発達の特性について知ることができます。
子どもに関わるスタッフはもちろん、保護者の方々も一人ひとりの障害に対するアプローチの仕方を学ぶことができます。
私の職場では、プログラムを終えた後に保護者の方にその日の活動の様子を伝える時間があります。さらに支援の様子を動画にして送ったり、おこなった内容を文章にして伝えたりもしています。
活動の中でできたことなどを伝えると同時に、家庭でもできる簡単な運動などをレクチャーすることもあります。
施設だけでなく、家庭でも継続して取り組むことで、子どもたちの「できた!」が増えていきます。
療育の場を選ぶ際の注意点
「療育」を受けることができる施設は何種類かありますが、今回は私が働いている「児童発達支援」を選ぶ際の注意点についてまとめました。
「児童発達支援」とひとことで言っても、本当に様々な施設があります。
例えば私の職場は「運動」を軸に「療育」をおこなっています。
他にも「音楽」を軸に「療育」をおこなっている施設や、子どもを預かって友達との関わりを作る施設など様々な種類の児童発達支援が存在します。
その形態も様々です。
マンツーマンで行う個別療育や、複数人で行う集団療育、保護者と一緒に行うもの、子どもだけで行うものなど、施設によって特色があります。
したがって、「療育」の場所を選ぶ際には、お子さんや保護者の方の目的にあった場所を選ぶということが何よりも大切です。
また、療育を通して
「言葉を上手に話せるようになってほしい」「友達と仲良く過ごせるようになってほしい」
など親としての希望も多くあると思いますが、まずは
「子ども本人が楽しく通えること」
を最優先にしてほしいです。
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終わりに
今回は自分の仕事をもとに、「療育」(特に「早期療育」)について考えてみました。
幼いうちから多くの体験をしておくことは、とても大切なことです。
「ただ遊んでいるだけ」に見えるということは、それだけ子どもたちが楽しんでいるということなんですよね。
子どもたちの「できたよ!」「楽しかったよ!」「また遊ぼうね!」という笑顔が見られることが、児童発達支援での仕事の一番のやりがいです。
明日からも楽しく頑張ります!
最後まで読んでいただきありがとうございました。
まつこ