まつこごと

本好き多趣味の元教員・現保育士アラサーによる雑記ブログ

【小学校の学級文庫】本好き元教員が教える「学級に置きたい本」10選〜中学年編〜

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「クラスの子どもたちにたくさんの本を読んでほしい」

学級文庫をつくりたいけど、なんの本を置けばいいかわからない」

そんな悩みをもっている小学校の先生に向けて、絵本好き元教員の私が学級に置きたい本を紹介します。

今回は「中学年編」となっています。中学年のおすすめの本を知りたい方の参考になれば嬉しいです。(記事には一部プロモーションを含みます。)

この記事を書いた人

こんにちはまつこです。私は2020年3月まで公立の小学校で教員として働いていました。

幼い頃から読書が大好きで、学校の図書館や地域の図書館にある本を大量に借りてきて読んでいました。今でも本を読むことが大好きです。

 

「読書」は子どもの国語力や想像力など、様々な力を楽しみながら伸ばすことができます。

「子どもたちに本をたくさん読んでほしい」「本を読む習慣をつけてほしい」

そんな素敵な思いがあるのならば、ぜひ学級に本を置いてください。

学級に本を置くことの良さについても後述していますので、ぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです。

 

この記事の内容

この記事では中学年(3、4年生)学級文庫におすすめな本を紹介しています。

国語や他の教科の学習に関連性のあるものについてはさらに細かな学年も書き入れています。

特に「初任の先生」や、「普段からあまり絵本を読まない」という方に参考にしていただけると幸いです。

高学年(5、6年生)向けのおすすめ本についてはこちらの記事をご覧ください。

matsuko-childsupport.hatenablog.com

▼低学年(1、2年生)向けのおすすめの本についてはこちらの記事をご覧ください。

matsuko-childsupport.hatenablog.com

さて、ここからはまず学級文庫とは何か」というお話を簡単にさせていただきます。

上の記事(高学年編・低学年編)でも同じ説明をしております。もうすでに読んだから、中学年のおすすめ本を早く知りたい!

という方は、こちらから スキップも可能です。

 

学級文庫とは

学級文庫とは、児童・生徒が利用するために、学級に本を置くこと。また、置かれた本のことをいいます。

学級文庫のメリット

学級文庫のメリットとして、休み時間やテストの後など、「日常のちょっとした隙間時間に児童が本を手に取ることができる」ということが挙げられます。

もちろん各学校の学校図書館にも本がたくさん置いてありますが、休み時間に外でドッジボールをしている子どもたちにとって、学校図書館の本に触れる機会はあまり多くはありません。

学級に本が置いてあることで、子どもたちは気軽に本を読むようになります。

 

もう一つのメリットとして、その学年の子どもたちの発達段階に合わせた本を置くことができるということが挙げられます。

社会や理科などの調べ学習で使用する本や、国語で扱う教材の同作家の物語、関連性のある作品などをすぐに手に取れる場所に置くことによって、学習にさらなる広がりをもたせることができます。

ぜひ、学級に本を置いていただけたらと思います。

 

学級文庫の作り方

まずはじめにすること

各学校によって学級文庫の形態は様々です。すでにその学年に合わせた本がクラスに置いてあるという学校もあるでしょう。

もし各学級に本がない場合は、同じ学年の先生方に相談をして、クラスに本を置くメリット等をしっかりと伝えてから学級文庫作りをしましょう。

勝手に動いてしまうと、後々撤収しなければならないという最悪の事態も考えられます。

 

本はどうやって準備するの?

前提として、学級文庫に置く本は担任が自腹を切る必要はありません。もちろん、ご自身の本をクラスに置いて、読んでもらうことも良いと思います。私も自分の本を学級に置いている時期もありました。

でも、学校には学校図書館という立派な図書館がありますので、それを利用しない手はないでしょう。

学級に本を置きたい場合は、学校司書の先生に相談をしてみましょう。学校図書館の本の中から、クラスや学年に適した本を探してくれるはずです。

期間等は各学校によると思いますが、クラス単位または担任自身でも本を借りられる制度がありますので、それを利用しましょう。

「学級の子どもたちに本を読ませたいんです!」担任の先生にそう言われて嬉しくない司書の先生はいらっしゃらないと思います。どんな本を置いたら良いか、きっと喜んで相談にのってくれますよ。

 

また、社会や理科などの調べ物学習などで一人一冊以上の本が必要になる場合もありますよね。

近年は学校にiPadが配られて、インターネットを使用した調べ学習も行っていますが、昔ながらの「本を使って調べる方法」もやっぱり学ばなければなりません。同じ種類の本が大量に必要になる場合は、1ヶ月などの単位で市や区の図書館から借りられる仕組みもあります。

活用できるものはどんどん活用していきましょう◎

 

学級文庫におすすめの本(中学年編)

それでは、ここからは中学年の学級文庫におすすめの本をご紹介します。

中学年は本を読むことが好きになるか、それとも嫌いになるか、ちょうど分かれ道になる学年です。子どもたちの興味をグッと引くような本をたくさん置きたいですね。

『にんきもののひけつ』文:森絵都 絵:武田美穂

花のバレンタインデー。こまつ君は27個もチョコをもらった。ぼくは一つだけ。なんでだろう?

童心社HPより)

「にんきもの」シリーズです。テンポがよく、程よい長さで内容も面白いです。

シリーズは全部で4冊あります。4冊それぞれ主人公が異なっていて、クラスに1人はいるよね、というキャラクターたちばかりです。

子どもたちにとって「自分に似ているな」と感じる子や、「友達そっくり!」な子もいるかもしれません。

各巻、主人公それぞれが日々の悩みを解決するような内容になっています。同じ悩みをもっている子は共感できると思います。

私が教員をしていた頃に学級に置いていました。文字も大きめで読みやすく、子どもたちから安定の人気を保っていたシリーズでした。

 

『車のいろは空のいろ 白いぼうし』著:あまんきみこ

男の子がぼうしの中につかまえたチョウをにがしてしまった。松井さんがチョウのかわりに思いついたものとは・・・心温まる短編集の傑作。

ポプラ社HPより)

表題作である『白いぼうし』が光村図書の4年生の国語の教科書に載っています。この本には、「白いぼうし」以外にも7つの短いお話が入っています。どのお話も、「ちょっと不思議」なファンタジーとなっています。

主人公であるタクシー運転手の松井さんの人柄もとっても素敵で、心が温かくなるお話ばかりです。

 

ちなみに同作者(あまんきみこさん)の作品は、他にも教育出版の2年生の教科書に『きつねのおきゃくさま』という作品が載っています。

「とっぴんぱらりのぷぅ」と終わるこの作品は、その言葉遣いの面白さも魅力の一つです。

 

『ナツカのおばけ事件簿』作:斉藤洋 絵:かたおかまなみ

おばけたいじ屋を開業したナツカとパパ。人形のおばけ“メリーさん“とトイレのおばけ“花子さん“相手に、知恵と勇気で対決します。

あかね書房HPより)

おばけ退治をするシリーズです。

一見怖そうな題材ですが、ナツカとそのパパがかなり「現実的」に解決してくれるので、中身は全く怖くないです。

例えば、どんどん近づいてくる人形のおばけ「メリーさん」を退治する方法はというと、

「私メリーさん。今あなたの家の近くの駅にいるの。」

という恐ろしいメリーさんの電話に対して、ナツカは

「あら、残念。私は〇〇駅のゲーセンで遊んでるわ。」

と携帯電話で話しつつ、ナツカ自身が移動して対抗をします。

斬新ですよね。笑

現代版のおばけ退治はなぜだかとっても楽しそうです。

続きはぜひ読んでみてください。今までのおばけの常識が覆る作品です。

 

『わかったさんのクッキー』作:寺村輝夫 絵:永井郁

クリーニング屋のわかったさんは、洗たく物に入っていたかぎを返しに行ったマンションで、クッキー作りのかぎをマスターします。

あかね書房HPより)

こちらの作品もシリーズものとなっています。(シリーズものが多くて申し訳ありません。)

子どもたちに人気の作品は次のお話(続編)が出る、ということですね。

 

作品の主人公はなんでもかんでも「わかった」が口癖のわかったさん。不思議な冒険を繰り広げながら、最後は毎回びっくりするほどの美味しいお菓子を作ってしまいます。

本の最後にはお菓子のレシピも載っている、女の子に人気の作品です。

私も『わかったさんのマドレーヌ』を読んでから母親と一緒に実際にマドレーヌを作りました。とても懐かしいです。

 

あらしのよるに』作:木村裕一 絵:あべ弘士

あらしのよるに、たったひとり、みしらぬところでだれかにであえたら、ほっとしますよね。でも、そのだれかさんが、こわーいあいてだったら……。きみならどうするかな?

講談社HPより)

映画やアニメーションにもなった、有名なお話です。

ヤギを食べるオオカミの「ガブ」と、オオカミを恐れるヤギの「メイ」が、嵐の日に真っ暗な山小屋の中で出会います。

二匹とも風邪気味で鼻が効かないので、お互いが自分と同じ動物だと思いながらお話を始めます。お互いの正体を知らないまま仲良くなっていく、この二匹のすれ違いが本当に面白いです。

この作品は二匹が出会った後のお話(続編)もあります。

少し長いですが、低学年への読み聞かせにもおすすめです。

 

『エルマーのぼうけん』作:ルース・スタイルス・ガネット 訳:わたなべしげお 絵:ルース・クリスマン・ガネット

年取ったのらねこからどうぶつ島に囚われているりゅうの子どもの話を聞いたエルマーは、りゅうの子どもを助ける冒険の旅に出発します。どうぶつ島ではライオン、トラ、サイなど恐ろしい動物たちが待ちうけていました。エルマーは、知恵と勇気で出発前にリュックにつめた輪ゴムやチューインガム、歯ブラシをつかって、次々と動物たちをやりこめていきます。エルマーはりゅうの子どもを助け出すことができるのでしょうか?

(福音館HPより)

冒険ものたがりの名作です。私も小学校の頃に夢中になって読みました。

「冒険に出かけたら楽しいだろうな」「行ってみたいな」と読んでいる人をワクワク・ドキドキさせてくれる本です。

長いお話ですが、短く区切って、年長さんやクラスの低学年の子どもたちへの読み聞かせをするのもおすすめです。ピンチの際にアイテムを使って上手に解決するエルマーに、子どもたちも大喜びです。

 

『だじゃれ日本(にっぽん)一周』著:長谷川義史

47都道府県をだじゃれでぐるっと回ってみよう!各県の名物も随所に登場。旅行気分も味わえます。親子で笑って楽しい絵本。

理論社HPより)

社会の学習で都道府県について学習するのは5年生です。都道府県の場所と名前を覚えるのは、苦手とするお子さんも多いです。

この絵本は、そんな「都道府県に対する苦手意識」がでる前に都道府県の名前を楽しく覚えられる」魔法の絵本です。

そんな意味も込めて、今回は中学年のおすすめとしましたが、もちろん都道府県を学習する5年生にもおすすめです。

「だじゃれ」だけではなく、絵もとても工夫されています。絵をじっくりみていくと都道府県ごとの特産品も多くのっているので自然と勉強になります。

学級文庫だけでなく、ご家庭でお子さんと一緒に読むのもおすすめです!

 

『ふしぎ駄菓子屋  銭天堂』作:廣嶋玲子 絵:jyajya

幸福な人だけがたどりつける、ふしぎな駄菓子屋。

そこにはたくさんの魅惑の駄菓子が並ぶ。

女主人・紅子がすすめる駄菓子は、どれもその人にぴったりのもの。

でも、食べ方や使い方をまちがえると……。

はたしてその駄菓子は、幸福を呼ぶか?

はたまた不幸をまねくか……?

偕成社HPより)

この本は、私が小学生の頃にはありませんでした。初版が2013年とのことですので、ここ10年くらいでしょうか。小学校で働いていた際にクラスの子どもたちが読んでいて知りました。

実際に読んでみると、大人でも面白い!必要な人に必要な時にだけ現れる不思議な駄菓子屋さん「銭天堂」と、そこに売られている不思議な力をもつお菓子たちに釘付けになります。

子どもたちに人気の理由がわかりました。

言葉も綺麗なので、子どもたちの語彙力を増やすのにも良いと感じました。

ちなみにこの作品はKindle Unlimited でも読むことができます。

長くつ下のピッピ』作:アストリッド・リンドグレーン 訳:大塚勇三

あしながおじさん」にヒントを得て、作者リンドグレーンの小さい娘が、「ねえ、長くつ下のピッピって女の子のお話を作って」と母に頼んだ.そこで生まれたのがこの世界一つよい少女の物語だった.自由ほんぽうに生きるピッピに、子どもは自分の夢の理想像を発見し、大人は愛さずにはいられない野育ちの永遠な少女を見出す.

岩波少年文庫HPより)

世界中の子どもたちに愛されたリンドグレーンの名作。おさげ髪、赤毛、そばかすだらけの顔、そして長靴下を履いた9歳の女の子ピッピが主人公のとってもおもしろおかしい物語です。

自分自身も小学生の頃に、この本を読み始めたら止まらなかった思い出があります。車酔いしやすい体質にもかかわらず、移動中の車の中でも必死に読んでいました。そのくらい「早く続きが読みたい!」と思わせてくれるお話でした。

 

リンドグレーンの作品の中でもう一つ私が大好きだった作品『やかまし村のこどもたち』も合わせて紹介します。

この本は、小さな村に住む6人の子どもたちの日常を描いた物語です。短いお話がたくさん入っていて、私は幼稚園の頃に母親に読み聞かせをしてもらっていました。

文字は小さめですが、やさしい言葉を多く使っているので、3、4年生は一人で読むことができると思います。名作はいつになっても名作ですね。今読んでも色褪せず面白いです。

 

『ざんねんないきもの事典』監修:今泉忠明

ざんねんないきものとは一生けんめいなのに、どこかざんねんないきもの達のことである。

「ざんねんないきもの事典」シリーズは、生き物に少しでも興味と愛情をもっていただければと あえて「ざんねん」という言葉を使って、これまでの本ではあまり語られてこなかった生き物の“意外な一面“を紹介しています。

高橋書店HPより)

この本も続々とシリーズが増えています。Eテレで短編アニメーションになったほど、とにかく子どもたちに人気の本です。今は全部で6冊の本が出ているのですが、2022年4月に7巻めの刊行が決定しているそうです。楽しみですね。

ストーリーがある本ではないので、テスト後などの短い隙間時間にもおすすめです。また、集中力が続かないお子さんでも、パラパラと読みたいところから読むことができるという良さもあります。

私が小学校の教員をしている頃は、生き物好きな男の子たちがこぞって読んでいましたね。

 

思わず誰かに話したくなるような「生き物たちの残念な部分」がたくさん載っていて、大人が読んでも楽しめる本です。

(…私は知らなかったのですが、2020年に竹中直人さん主演でミニドラマにもなっていたそうです!)

 

おわりに…

高学年、低学年、中学年と順に学級に置きたい本を紹介してきました。

いかがでしたでしょうか。

先生方には、子どもたちにとっていちばん身近な大人として、面白い本をたくさん子どもたちに教えていただけたらと思います。

 

子どもたちがたくさんの素敵な本と出会えますように。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

まつこ