ミヒャエル・エンデの「はてしない物語」、J・K・ローリングの「ハリー・ポッター」シリーズと、外国のファンタジー作品を続けて読んできました。
今回読んだ作品は森見登美彦さんの「ペンギン・ハイウェイ」。
久しぶりに日本の作家さんの「THE・ファンタジー」を読みました!
この記事では、森見登美彦著「ペンギン・ハイウェイ」の感想をまとめました。
お話の内容も書きますが、物語の核心をついたものではありませんので、この本を読んだことのない方でも(ネタバレが嫌な方でも)安心していただけたらと思います。
(この記事には一部プロモーションを含みます。)
この記事を書いた人
こんにちはまつこです。本を読むことが大好きです!ファンタジー、エッセイ、ビジネス本などジャンル問わず気になった本を片っ端から読んでいます。
少し前までは、本は文庫本派でしたが、今は「Kindle端末」で読むことがほとんどです。とっても軽くて、持ち運びに便利です。
「Kindle端末」について気になる方はこちらの記事をどうぞ。
matsuko-childsupport.hatenablog.com
「ペンギン・ハイウェイ」を読んで
筆者の森見登美彦さんについて
森見登美彦さんの作品を読むのは2018年8月に「四畳半神話大系」という本を読んだ以来4年ぶりです。
実は私、森見さんの「四畳半〜」の文体が個人的に好みではなく(ちょっと古風で独特な文体で)、しばらく遠のいていました。
Amazonの本のサブスクリプション「Kindle Unlimited 」で本を選んでいるときに、今回紹介する「ペンギン・ハイウェイ」を見つけました。
これを機に、今までなんとなく避けていた森見さんの本を「もう一度読んでみよう!」と思い至りました。
いざ読み始めると、「ペンギン・ハイウェイ」は私が苦手だった文体ではなく、むしろとても読みやすい文体でした。例の文体は「四畳半神話体系」だけだったということがわかりました。食わず嫌いならぬ、「読まず嫌い」をしていたんだなあ、と実感。森見さんファンの方々、たいへん申し訳ありません。
今回はついでにもう一冊、森見登美彦著「新釈 走れメロス」もダウンロードしました。
私が大学生のころ(教育学部の国語科に所属しているころ)、この作品を一度読んだ記憶があります。でも、内容等を全く覚えていないので、もう一度読んでみることにしました。
「ペンギン・ハイウェイ」がとても面白かったので、こちらも期待度が上がっています。
「ペンギン・ハイウェイ」感想
あらすじ
小学4年生のぼくが住む郊外の町に突然ペンギンたちが現れた。この事件に歯科医院のお姉さんが関わっていることを知ったぼくは、その謎を研究することにした。未知と出会うことの驚きに満ちた長編小説。
(「KADOKAWA」HPより引用)
「ファンタジー作品」でした!
ぼくはたいへん頭がよく、しかも努力をおこたらずに勉強するのである。
だから、将来はきっとえらい人間になるだろう。
(森見登美彦「ペンギン・ハイウェイ」より冒頭を引用)
この作品は、小学四年生の一人語りから始まります。
予備知識を一切入れずに読み始めたので、序盤は「ファンタジー作品」だとは思わず、「ちょっと変わった小学生の日常が書かれたものなのかな。」くらいに感じていました。でも、読み進めていくうちにあまりにも不可解な出来事が多く起こるので、これは「ファンタジー作品だったんだ!」と頭を切り替えました。
(・・・うまく言えないのですが、私、「ファンタジー作品」を「ファンタジー作品だ」と思って読まないと気持ち悪いんですよね。)
最後まで読んだ感想
率直に、とても面白かったです。大人向けのファンタジー作品だと感じました。
主人公は小学生ですが、個性が強めなので、自分が主人公と同じくらいの歳の頃に読んでも共感は難しかったと思います。
2018年にアニメ映画化されているようです。(知識がなく、すみません。)
こちらは子どもたちが観ても面白い作品になっているのでしょうか。機会があれば観てみたいと思います!
登場人物たちについて
主人公アオヤマくん
この作品に出てくる主人公「アオヤマくん」の性格が個性的で面白いです。まだ子ども(小学4年生)なのになぜか達観しているところがあり、近所のお姉さんや喫茶店の店員さん、両親とも子どもらしくない会話をしています。
研究が好きで、常に「ノート」を持っていて、感じたことや分かったことなどを書き留めている、その性格もとっても素敵です。
将来はそれこそ研究者、研究者になれなかったとしても、物書きかブロガーになるのではないでしょうか。笑
大人っぽい性格なのに、「好き」という感情には疎い(うとい)部分があります。同級生のハマモトさんやスズキくんの「好き」という気持ちには気づくことができません。その主人公の「疎さ」も、この物語を必要以上に進めすぎない良いところなのかなと感じました。
歯科医院のお姉さん(と、ペンギン)
主人公と行動を共にする歯科医院の「お姉さん」がまた素敵です。物語の鍵になる「お姉さん」ですが、その名前は最後まで明かされていません。「お姉さん」は「お姉さん」なのです。小学生の主人公を一人の人間として尊敬して付き合ってくれているような姿があり、とても良い人です。
このお姉さんと切っても切り離せない存在なのが「ペンギン」と「シロナガスクジラ」、謎の生物「ジャバウォック」です。この生物たちについても書きたいことは多くありますが、ネタバレになってしまうので、ここでは書きません。
主人公の両親
さらには、主人公の両親が素敵です。
どちらも主人公の子どもらしくないところを否定せずに付き合ってくれている、素敵なお二人です。お父さんは主人公の研究について認めてくれて、的確なアドバイスをしたり、フランスのお土産に「ノート」を買って来たり・・・!お母さんも、子どもの実験を邪魔しない(ほぼあきらめ?)ところがあり、子どもをのびのびと育てていて素敵だなあと感じます。
好きな場面
ウチダくんの人生観
細かな内容で一つ、私が好きな場面は同級生で研究仲間の「ウチダくん」が「人生論」について語る場面です。
自分のノートを決して見せなかったウチダくんが、自分の研究を語る様子が印象的です。主人公だけでなく、ウチダくんの成長も見ることができて、ジーンとしました。
▼その部分を引用してみました。
ほかの人が死ぬとき、ぼくはまだ生きていて、死ぬということを外から見ている。でもぼくが死ぬときはそうじゃない。ぼくが死んだあとの世界はもう世界じゃない。世界はそこで終わる。
ぼくは生きているうちにいろんな事件に出会って、死ぬかもしれないし、死なないかもしれない。どんなときでも、どちらかだよね?そのたびに正解はこうやって枝分かれする。それで、ぼくは、自分というものは、必ず、こっちのぼくが生きてる世界にいると思うんだよ。
(森見登美彦「ペンギン・ハイウェイ」より引用)
私もことあるごとに「生きる」とか「死ぬ」ことについて考えてきましたが、このウチダくんの考え方にはとてもしっくりくるものがありました。
私は「私が生きている」世界線を常に「生きている」んだなあと思います。
終わりに
この記事では、森見登美彦著「ペンギン・ハイウェイ」について書きました。
登場人物が個性的で面白く、森見さんの文章もとっても読みやすいです。
読み終えた後にはなんとも言えない「余韻」もあり、「読んでよかったなあ。」と思える作品です。
興味のある方はぜひ読んでみてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
まつこ
冒頭で述べた外国のファンタジー作品についてはこちら▼
matsuko-childsupport.hatenablog.com
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