まつこごと

本好き多趣味の元教員・現保育士アラサーによる雑記ブログ

【今週の一冊】今すぐ本屋に行きたくなる漫画『書店員 波山個間子』

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「私の趣味は読書です」って堂々と言えるほど読書家ではないのですが、本を読むことが好きです。こんにちはまつこです。

(記事には一部プロモーションを含みます。)

今日は、表題にもある通り『書店員 波山個間子』という漫画を紹介します。

この漫画の著者は黒谷知也さんという方です。この本を読んでからTwitterやブログ等を拝見しましたが、電子書籍を中心とした活動をされている方らしいです。第一巻を読んで、とても好きな感じがしたので第二巻と番外編も続けて読みました。三冊まとめて感想を書いていきたいと思います。

それでは、いきましょう。

 

あらすじ

主人公は本屋で働く波山個間子という女性。彼女は本を購入するためにありとあらゆる部分で節約をしている読書家であり、社割で本を購入するだけでなく図書館も頻繁に利用しています。部屋は本で溢れ、自らが寝るスペースはなく、押し入れで寝ています。そのため、本にとても詳しく、働く書店ではお店で唯一の「ブックアドバイザー」という役職についています。

「節約しているのにお酒は飲む」、「接客は苦手だが本のことになると饒舌になる」、「意外と頑固」で「意外と手先が器用」というちょっと変わった性格の主人公。そんな主人公と周りの人々とのかかわりが描かれている漫画です。

物語全体を通して、特に大きな出来事が起こる訳ではありません。短編集のようになっていて、1話ごとに彼女とその周りの人たち(同じ本屋の書店員たちやお客さん)との「本にまつわるエピソード」が淡々と描かれています。その淡々とした雰囲気もとても好みです。

 

それぞれのエピソードには必ず実在する本が登場します。ストーリー中に出てくる本の題名がその話のタイトルになっている話も多いです。

たとえば、第一巻に収録されている第4話「『少年の日の思い出』」。中学校国語の教科書に載っている短編小説です。そしてそれの続きのような話になっているのが第5・6話目「『車輪の下』前編・後編」。どちらの作品もドイツの作家ヘルマン・ヘッセの著作です。

私自身も、『少年の日の思い出』は中学の頃、『車輪の下』は高校の頃に読みました。

昔読んだ本がこうやって大人になってから漫画の中に出てくると、なんというか「懐かしい」「なんとも言えない」気持ちになります。そして「いまの自分が読んでみたらどんな気持ちになるのだろう。」と懐かしのお話のページを再び開いてみたい衝動に駆られました。

 

漫画なのですが絵はあまり細かくなく、サラッとしています。登場人物の表情の違いもそこまでありません。登場人物の感情を絵で見せているのは、主人公が本を読んで感動して泣いている場面くらいでしょうか。他の場面は本当に余計な線がなく「シンプル・イズ・ベスト」と言えるような絵です。

ただ、実際の本の絵はかなりリアルに描かれています。表紙からタイトルの字体から厚みの感じまで…。シンプルな人物の描写とリアルな本の描写。そのギャップがとても面白いと感じます。

 

私が特にお気に入りの登場人物は第二巻に登場するアルバイトの茂地月(もちづき)さん

彼女はアマチュアの舞台女優をしています。大雑把な性格ゆえ本屋のアルバイトには向いていなさそうなのですが、できる女を演じて面接に挑み、見事アルバイトの座をゲットした逸材です笑。第二巻に収録されている第10話「『蒲団』『狭き門』」では、波山さんと作家の恋愛について語っています。本を読まなさそうなのにしっかりと読んでいるところも、好感がもてます。

 

お気に入りのシーンは第13話「休日」から、本を読んでいる親子が出てくる場面です。少し(本当に少し)ネタバレをしてしまいますが、ご勘弁を。(嫌な方は閉じてください…。)

波山さんと書店の店長が遊びに出かけた帰りの出来事です。

〜駅のホームで電車を待っている家族がいるのですが、母親は二人の子どもたちを放置しています。「子どもを放置するなんてひどい親。」親子を遠目で見ながら店長は文句を言います。が、不意に母親がカバンから本を出して読み始めると、二人の子どもたちもカバンから本を取り出して各々読み始める。〜

そんな場面です。

なぜこのエピソードがお気に入りなのかと言いますと、先日ちょうど空港でこのシーンと全く同じシチュエーションに遭遇したからです。このエピソードを読んで、そのときのことをぶわーっと思い出しました。

空港でスーツケースなどの大きな荷物を預ける列に並んでいた時の話です。年末年始だったので空港はかなり混んでいて、30分くらい待ち時間があったでしょうか。会話をしたり、スマホを操作したりしながら並んでいる家族が多い中、私の数組後ろに並んでいたご家族(お母さん、二人の娘さん)がそれぞれに黙々と本を読みながら並んでいました。「家族全員で本を読んで待つ」というのが今の時代にあまりみられない光景でしたので、かなり印象に残っています。著者の黒谷さんも私と同じように、この光景をどこかで見られたのかもしれませんね。

 

私も今後自分の子どもが生まれたら、こんな「私に倣え」的な感じのお母さんになりたいです。(どんな)

 

さて、今回は『書店員 波山個間子』という漫画を紹介しました。

第一巻、第二巻、番外編の三冊を読み終え、この作品に出てきた本の数々を読んでみたくて「本屋に行きたい欲」がかなり増しています。近所の本屋にも波山さんのようなブックアドバイザーがいらっしゃらないか探してしまいそうです。

ちなみに、こちらの作品はKindle Unlimitedにも入っています。ご興味のある方はぜひ読んでみてください。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

まつこ